28改正消費税
平成28年度 消費税 関係の主な改正事項
1 軽減税率制度の創設
- 平成29年4月1日より「酒類・外食を除く飲食料品」及び「週2回以上発行される新聞の定期購読料」を対象に消費税の軽減税率制度が導入されます。
(注)輸入時に課される「酒類を除く飲食料品」の消費税についても軽減税率の対象となります。 - 軽減税率対象品目の税率は8%です(標準税率は10%)。
- 平成33年4月より適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)が導入されます。
- 平成29年4月から平成33年3月までの4年間は事業者の準備等の執行可能性に配慮し、簡素な方法(区分記載請求書等保存方式及び税額計算の特例)が導入されます。
請求書等保存方式 (現行制度) | 区分記載請求書等保存方式(簡素な方法) | 適格請求書等保存方式 (インボイス制度) |
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平成29年4月1日 平成33年4月1日
| 経過措置期間(4年間) |
2 税額計算の方法
区分記載請求書等保存方式(平成29年4月から平成33年3月まで)
現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置
○請求書等
★売り手が発行する請求書等の記載事項
現行の記載すべき事項に、
①軽減税率の対象品目である旨
②税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)
が追加されます。
*現行と同様、「請求書等」には、一定の記載事項を満たす領収書や納品書、小売事業者等が交付するレシートなど取引の事実を証する書類も含まれます。
★買い手は、区分記載請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。
*免税事業者も、区分記載請求書を交付することができます。
*上記①及び②の記載がない請求書等については、買い手が事実に基づき追記できるものとします。
*現行と同様、
・売り手には区分記載請求書の交付及び写しの保存義務はありません。
・帳簿の保存も仕入税額控除の要件となります。
・支払対価の額が3万円未満の場合や区分記載請求書の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、帳簿の保存により仕入税額控除をすることができます(区分記載請求書の保存は不要です)。
○納付税額の計算方法
★現行と同様、適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて売上げ(仕入れ)に係る消費税額を計算する「割戻し計算」を維持します。
○経過措置(売上税額の計算の特例、仕入税額の計算の特例)
★売上げを税率ごとに区分することが困難な事業者が、売上げの一定割合(注)を、軽減税率対象品目の売上げとして税額計算することができる特例が設けられました。
(注)
対象者 | 割合 | |
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① | 仕入れを管理できる卸売・小売事業者 (簡易課税制度適用事業者を除きます。) | 仕入総額に占める軽減税率対象品目に係る仕入金額の割合 |
② | ①以外の事業者 | 通常の連続する10 営業日の売上総額に占める軽減税率対象品目の売上金額の割合 |
③ | ①・②の計算が困難な事業者 (主として軽減税率対象品目の販売を行う事業者に限ります。) | 50% |
*中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下)は、軽減税率制度の導入から4年間(平成29年4月から33年3月までの期間)この特例を選択することができます。
*中小事業者以外の事業者(基準期間における課税売上高が5千万円超)も、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)、同様の特例を選択することができます。
★仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者が、仕入れの一定割合(注)を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額計算することができる特例を設けるほか、簡易課税制度の事後選択による適用等が可能となりました。
(注)売上げを管理できる卸売・小売事業者(簡易課税制度適用事業者を除きます)…売上総額に占める軽減税率対象品目に係る売上金額の割合
*仕入れの一定割合を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額計算することができる特例は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)選択することができます。
*簡易課税制度の事後選択による適用等の特例は、それぞれ次のとおりです。
・中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下)は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間)、簡易課税制度の事後選択をすることができます。
・中小事業者以外の事業者(基準期間における課税売上高が5千万円超)は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)、簡易課税制度に準じた方法による計算をすることができます。
適格請求書等保存方式(平成33年4月以降)
○請求書等
★売り手が発行する請求書等の記載事項
区分記載請求書の記載すべき事項に、
①登録番号
②税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
③税率ごとに区分して合計した消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額)
が追加されます。
★平成33年4月1日より、適格請求書発行事業者登録制度の登録(注)を受けた課税事業者(売り手)は、取引の相手方(課税事業者)から求められた場合の適格請求書等の交付及び写しの保存が義務付けられます(適格請求書発行事業者として登録を受けた課税事業者のみ適格請求書等を交付することができます)。
(注)適格請求書発行事業者の登録については、平成31年4月1日からその申請を受け付けます。
*小売業、飲食業、タクシー業等の不特定多数の者に対して販売等を行う一定の事業を行う場合については、取引の相手方の氏名等を省略するなど適格請求書の記載事項を簡易なものとする適格簡易請求書を交付することができます。
*偽りの適格請求書等の発行については罰則が設けられます。
★買い手は、適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(免税事業者は適格請求書等を交付できないため、免税事業者からの仕入れは、仕入税額控除をすることはできません。ただし、適格請求書等保存方式の導入後一定期間は、免税事業者からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合(注)を控除することができます)。
(注)平成33年4月から平成36年3月まで…仕入税額相当額の80%
平成36年4月から平成39年3月まで…仕入税額相当額の50%
*現行と同様、帳簿の保存も仕入税額控除の要件となります。
*適格請求書等の交付を受けることが困難な場合(自動販売機から購入する場合や中古品販売業者が消費者から仕入れる場合等で一定の場合)は、帳簿の保存により仕入税額控除をすることができます(適格請求書等の保存は不要です)。
*現行の支払対価の額が3万円未満の課税仕入れについて請求書等の保存を不要とする規定等は廃止されます(3万円未満の課税仕入れであっても、帳簿の保存により仕入税額控除が認められる場合を除き、適格請求書等の保存が必要となります)。
○納付税額の計算方法
★売上税額・仕入税額の計算は、適格請求書等(またはその写し)に記載された消費税額を積み上げる「積上げ計算」と、適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて売上げ(仕入れ)に係る消費税額を計算する「割戻し計算」のいずれかの方法によることができます。
*売上税額を「積上げ計算」する場合には、仕入税額も「積上げ計算」によることとなります。
3 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
- 外国人旅行者による旅行消費の経済効果を地方に波及させる観点から、平成28年5月より、
★免税販売の対象となる購入下限額を引き下げられます(購入下限額を5千円以上で統一)。現行 改正後 一般物品(家電、バッグ、衣料品等) 1万円超 5千円以上 消耗品(飲食料品、医薬品、化粧品等) 5千円超 5千円以上
★免税店から海外へ免税対象物品を直送する場合には、購入記録票の作成を省略するなど、免税手続きが簡素化されます。
★ショッピングセンター等が商店街等の組合員である場合には、商店街等の組合員でないショッピングセンター等の各店舗と商店街等の各店舗における免税手続きを「免税手続カウンター」でまとめてできるようになりました。