29改正相続税
平成29年度 相続税 関係の主な改正事項
1 相続税及び贈与税の納税義務の見直し
- (1) 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税及び贈与税の納税義務について、国外財産が相続税又は贈与税の課税対象外とされる要件が、被相続人等及び相続人等が相続開始前又は贈与前10年(改正前: 5 年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととされました。
- (2) 被相続人等及び相続人等が出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって一時的滞在をしている場合等の相続若しくは遺贈又は贈与に係る相続税又は贈与税については、国内財産のみを課税対象とすることとされました。
- (3) 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が国内に住所を有しない者であって相続開始前又は贈与前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在をしていたものを除きます。)から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産が、相続税又は贈与税の課税対象に加えられました。
2 相続税の物納制度の見直し
- 相続税の物納に充てることができる財産の順位について、社債、株式及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等が国債及び不動産等と同順位(第1 順位)とされ、物納財産の範囲に投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等が加えられ、これらについても第1 順位とされました。
3 医療法人の持分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例の創設等
- (1) 平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄をしたことによりその医療法人がその認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をした場合には、その医療法人がその放棄により受けた経済的利益については、贈与税を課さないこととされました。
この適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行をした日以後6 年を経過する日までの間に移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合には、上記の経済的利益については、その医療法人を個人とみなして、贈与税を課すこととされました。 - (2) 医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が3 年延長されました。
4 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の特例の改正
- (1) 住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をした者が、贈与を受けた年の翌年3 月15日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることによりこの特例の適用を受けた場合において、その住宅用家屋が災害により滅失等をしたことによってその居住の用に供することができなくなったときは、居住要件を免除することとされました。
- (2) 住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をした者が、贈与を受けた年の翌年3 月15日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることによりこの特例の適用を受けた場合において、災害に基因するやむを得ない事情によりその住宅用家屋を同年12月31日までにその居住の用に供することができなかったときは、その居住期限を贈与を受けた年の翌々年12月31日まで延長することとされました。
- (3) 贈与により金銭を取得した者が、その金銭を住宅用の家屋の新築等の対価に充てて新築等をする場合において、災害に基因するやむを得ない事情により贈与を受けた年の翌年3 月15日までに新築等ができなかったときであっても、その贈与を受けた年の翌々年3 月15日までに新築等をしたときは、この特例の適用を受けることができることとされました。
- (4) この特例の適用を受けた者の住宅用家屋が被災者生活再建支援法が適用される自然災害により滅失等をした場合において、その者がその直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築等をするときは、再度この特例の適用を受けることができることとされました。